FUJIMI HERMITAGE DIARY

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小屋作り2

丸太小屋ができる

 前回は小屋作りのパート1だったのだが、コンクリートの基礎作りのところで終わってしまっ
 た。
 生コンをコンパネで作ったワクに流し込んで基礎を作るという仕事は、数人の仲間とミキサー
 車を運転してきたおじさんとの協同作業で無事に終わった。その後、僕は3週間の旅にでかけ
 たのだが、旅先でもこの基礎のことが念頭を離れなかった。たまたま丸太小屋を見つけたりす
 るとしみじみとそれに見入り、観察し、基礎はどうなっているのかと深く研究する旅の空であ
 った。
 小屋に戻ってきてみると、コンパネはいくらか日焼けこそしていたが、それは当然のことなが
 らそこにそのままあった。そしてついにコンパネのワクを外してみるときがやってきた。
 そして、そこには、概ね、けっこうな基礎ができあがっていたのである。鉄筋がいくらかはみ
 だしているところがあったり、基礎そのものがビヤ樽のようにふくらんでいるところもあった。
 が、大勢には影響はあるまい。なによりも自身が設計して築いた布基礎なのである。文句のつけ
 る余地はなかった。
 最後に、余った生コンを小屋前部分に、どーっとたれ流したのだが、それも立派なタタキとして、
 ま新しいコンクリートの風情をみせていて、ちょっとした作業スペースになりそうだった。
 コンクリートは仕上がりをなめらかにスムーズにするとつるつるの表面がでてくるのだという
 が、なにせ、騒乱状態の中での仕上げであったので、ホウキの目やら手型足型なども残ったユ
 ニークなタタキである。これも記念の印と思えば、とにかくうれしい。
 
 予定どおり7月下旬に梅雨明けを迎え、最初の土曜日となった。
 丸太小屋のキットがトラックで運ばれてくる日である。前回同様、数人の友人が前夜から泊ま
 りがけで応援にやってきてくれた。うれしい。持つべきは友であることよ。朝から青空、気温
 がぐんぐん上がって、本格的な夏がやってきた。「よし、よし」と友のひとりが空を見上げな
 がらうなずく。二日酔いの朝であることも前回と同様。今回は全員が金づちやクギのはいった
 道具袋を腰に下げている。半ズボンでヘルメットの人も。
 9時。予定通り長尺の4トントラックが長くて大きな包みを積んでやってきた。「よし、よし」
 である。ヨコハマからやってきたのだ。若いおにいさんドライバーがバックでうまく建設現場
 に入れる。トラックの荷台に乗り込んでパッキングを解き、キットの材木をひとつひとつ手で
 下ろすのである。事前にもらった作業マニュアルによれば、このときやたらめったら地面に降
 ろしてはいけない、とあった。
 材木につけられた合い印を見て、どこのパーツであるかを確認しながら、整理して地面に置い
ていくのである。置く場所も組み立ての順番を考えながら、 後から使用するものは遠くに、それ
 がコツなのだ。みんなが寄ってたかってこの作業に専念すること1時間。暑い。とひと休み。

いよいよ組みあげである。
基礎に直接のせる土台用の角材が5本あって、それにドリルで穴をあける。基礎からでている鉄
棒にはめ込みながらその5本を置く。この上に丸太を合い印をみながら順序よくのせて組み立て
ていくのである。
最近の丸太小屋はマシンカットといって、精巧に製材された材木を、積み木細工のように組み立て
るものが多い。材はすべて規格の寸法で正確にカットされているからぴったりと重なってスキ間は
ない。
一方、ハンドカットの丸太小屋というのもあって、これは丸太小屋本来のもので、原始的な作り
方である。切り倒した針葉樹の巨木を枝を払って運んでくる。樹皮をきれいに剥ぎ、太さの異な
る素材を工夫しながら組み合わせて積んでいくのである。どうしてもスキ間があくからパテを塗り
込んだりするのである。ロッキー山脈の山中の古い丸太小屋を見たことがあったが、そこではパ
テのかわりにコケを詰め込んであったのが印象に残っている。ハンドカットシステムは手間も時
間もかかる重労働だ。
どちらの丸太小屋がよいかどうかは好みの問題だが、どちらが「偉い」かといえば、それはもちろん
ハンドカットのものであると言えよう。古来からの方法、ハンドカットで作られた丸太小屋は、
スキ間があろうがなかろうが、趣きがあって味わい深く価値が高いのである。今時分これを作ろう
とすると当然コスト高になる。だから一方のマシンカットの丸太小屋は貧乏人の丸太小屋ともい
われるのである。
そんなわけで、今回買い求めたフィンランド製のキットは、100パーセントマシンカットのも
のであった。しかしマシンカットのおかげで建築現場はラクである。
一枚の板を「はいよ」と持ち上げ「ホイキタ」と受け取り「よいしょ」とはめ込む。「とんと
ん」と木槌を叩き込むと一丁あがり。一段分ができあがるのである。四方を積むと次の段に進む
ことになる。にわか大工となった友人たちのチームワークは素晴らしく、あれよあれよ、という
間に丸太の壁は腰から鼻のたかさになり、やがて頭を超えてしまった。

暑い。と休憩。夏の強い日ざしが直接カラダにあたり、俺は肉体労働をしているんだな、という
満足な気分がふつふつを湧いてくる。友人たちは、ひどい日になってしまった、と思っているの
かもしれないが、そのあたりは分からない。
午後になって屋根部分を作った。いままでよりは複雑な作りだがなんなくこなし、屋根を張り付
けて、まだ日が高いうちに家の形になってしまった。床材も、と金槌を使って貼り、窓とドアを
取り付けると今日の仕事は終わりだった。
ま新しい木の香りがさわやかだ。みんなでまだなにも置かれていないワンルームの中であーだ、
こーだと感想を述べる。昨日までなにもないところに、小さいながら家一軒が建ってしまったの
である。
友人たちも、面白かった、経験になる、とうれしいコメントを発してくれた。
おっと、雨がくるといけない。というので、屋根にブルーシートをかけることにする。
そうそう、今回は運送の手違いで、屋根を葺く材料が運ばれてこなかった。アスファルト
シングルという名前の屋根材を貼る作業は次回の楽しみとなったのであった。仕事が先で待って
いてくれるのは、励みでもあり、鞭でもあるのだ。




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