IN THE WOODS

インスボンのロッククライミング

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 韓国のロッククライミングといえばなんといってもインスボン(仁寿峰)が有名だ。アメリカだったらヨセミテ
で一度は登ってみたい、と考えるように、韓国ならインスボンで、というふうに思うクライマーは多い。
 韓国には高い山こそないが、岩場は豊富で、半島各地に素晴らしい岩山が点在している。昨今、現地でのロック
クライミングの人気は高く、新しいエリアやルートも続々誕生している。
  インスボンの北5キロほどのところには同様なスケールをもつソニンボン(仙人峰)があるし、コーチャンの
ソウンサ(禅雲寺)などには石灰岩のスポーツルートがたくさん開かれていて人気を集めている。新エリアについ
ての情報は「Rock&Snow」などの取材レポートに期待するとして、ここでは岩登り愛好家なら一度は訪れたいと思う
憧れのインスボンについて概略を紹介したい。
 インスボンがこれほど知られているのはそれなりのわけがある。
素晴らしい花崗岩の岩峰、すっきりして美しいルート、ソウルの町外れにそびえるという立地のよさ、これらがあっ
て、インスボンはフリークライミングのメッカとして古くから親しまれているのである。
 北漢山(プハンサン)国立公園にそびえるインスボン、標高は811メートル、街はずれから30分ほどハイキングし
て初めてその姿を見たひとはその雄大さと美しさに驚くはずである。そしてそこを登ってみたいと考えるにちがい
ない。実際、インスボンのとなりの白雲台(ペグンデー)はインスボンをもっとも間近に見られる岩山としてソウ
ルのハイカーにとって絶大な人気を得る展望台なのである。クライマーでなくともこのハイキングルートは歩いて
みたいもの。
耳岩は特徴的なのでだれでもわかるインスボンのシンボル。ここに登るにはクライミングルートをたどる以外ない。


ルート
 ルート数は100本ほど。インスボンのその姿から想像できるように、すべて花崗岩のスラブとクラックを登るルー
トとなっている。小川山やヨセミテと同様なフリークライミングが楽しめるわけである。グレードもデシマルグレー
ドで、日本とほぼ同じような感覚で登ることができる。岩場の基部から頂上までは3ピッチから5ピッチほどあり、
マルチピッチのクライミングを楽しむ人が多い。
 一部、高グレードなショートルートもあるが、全体には5.7から5.10台までのルートが多く親しみやすい。
クラックルートはかつてイヴォン・シュイナードが登ったりしたこともあることからわかるようにヨセミテ的なグレ
ードで手強い。
 インスボンのスラブはフリクションがよく効く。ジャイアントスラブの2ピッチで最初に様子をチェックするのも
よいだろう。かんたんなスラブほどピンが少ないので不安ならナッツ類で確実にプロテクションをとりたい。
インスボンの頂上に歩いて登れるルートはない、下降もロープで懸垂下降することになる。一般には頂上から西に少
し下り、西壁を懸垂下降する。50メートルロープが一本なら4回で白雲台とのコルに降り立つ。西壁のビデュルギル
ートは3ピッチで頂上に立てる短いルートなので偵察がてら登るのによい。


シーズン
 1年中可能だが、夏冬は気候が厳しすぎる。春や秋が適当といえるが梅雨や秋りん、台風などの影響は日本と同じ
ように受けるので日本にいるあいだから天気情報をチェックしてタイミングよく出かけるとよい。真夏には暑さをし
のぐためにナイトクライミングを楽しむ現地クライマーもいる。

装備
 プロテクションはおおむねしっかりしている。スラブルートには新しいボルトが打たれているし、下降点には頑丈
な支点が設置されている。クラックルートを登ることも多いのでカム類がひととおり必要。キャマロットなら2セット
ほしい。ほかに大きめのナッツ類もほしいところだ。ヌンチャクはパーティで20本は必要。さらに長めのシュリンゲ
なども用意したい。
 ロープはシングル使用で50メートルがあればよい。懸垂下降を効率よくするためにはもう一本あるとラク。頂上ま
で抜けるロングルートが多いので、雨風対策も忘れずに。落石もしばしば起きる。ヘルメットは必要だ。



アドバイス
 アクセスとしては、北漢山国立公園の入り口、トソンサ(道「言にんべんに洗うという字」寺)から白雲台へのハ
イキング道を1時間。インスボンのベース白雲山荘(ペグンサンジャン)に着く。トソンサまではキンポ空港からタ
クシーで1時間ほど。タクシーが早くて一番ラクだが、地下鉄、バスも利用可。最寄バス停はウイドン(牛耳洞)。
自由旅行向きのガイドブックがあれば問題ない。大阪や成田を午前便で出発すれば、その日のうちに白雲山荘に入る
ことができる。

 宿は白雲山荘がよい。日本から連絡所に予約可能だが,現地の小屋への連絡が不徹底なこともある。白雲山荘は一
泊二食で3000円くらいの見当。寝袋とマットが必要。ソウル市内に泊まって通うことも可能。ソニンボンなどほかの
エリアにも行ける。
白雲山荘の連絡所先は 韓国SOUL市江北区牛耳洞1番地利 李永九さんは日本語がわかる。
テントエリアもあ
るが、宿泊施設を利用して韓国料理をたしなむのが良案。

 ソウルにはクライミングガイドもいるが日本からの予約はむづかしいかもしれない。韓国のクライミング旅行は時間
的余裕があれば飛び込みスタイルがよいという人も多い。どうしても心配というひとは山岳旅行専門の旅行社で相談す
るのがよい。
インスボンのルートとそのほか詳細なガイドは、安村淳氏の「仁寿峰の岩場・主要32ルートガイド」が完璧に近い。
本誌2000年9,10月号で連載している。

代表的なルート

キバウィD(シュイナードA)5ピッチ 5.10a
インスボンへのアプローチにある見返り峠からみてもそのすっきりしたラインはよくわかる。大スラブを大きく回りこ
んだところからスタート。登るほどに難しくなるのでオーダーに注意。耳岩の頭まで登れば充実するだろう。クラック
が得意のひとでも4ピッチ目は辛くかんじるかもしれない。


ウジョンB (友情B)4ピッチ5.9
核心は2ピッチ目の5.8のクラックだが3ピッチ目の5.5のチムニーは長くて面白い。バックアンドフットで登るとよい。
パックは腹にまわす。4ピッチ目のダブルクラックはけっこう難しい感じがするだろう。

アミドンキル 3ピッチ5.10b
まず大スラブを2ピッチ登る必要がある。この大スラブがインスボンらしい。がまスラブかヨセミテのエプロンか。ル
ートはわかりにくいがブッシュごとにピッチを切る。2ピッチ目の複数クラックをシフトしながら登るのが面白い。3ピ
ッチ目のスラブはうまいひとならどうということもないだろう。、

ウィディキル(医大ルート)5ピッチ 5.10d A0
耳岩まで登る人気ルート。オアシステラスまでかんたんなスラブを登る。1ピッチ目は難しそうに見えるが5.8.3ピッチ
目、5ピッチ目の核心はかなりデリケート。A0をつかえばなんのこともない。そんな登りかたをしている人も多いのが楽
しい。耳岩の頂上からは懸垂で下る。



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